2026年に入り、欧州最大の経済大国ドイツは緩やかな回復基調にあります。2年連続のマイナス成長を経て、昨年は0.2%のプラス成長を達成。今年はさらなる改善が期待されていますが、日本企業がEU市場進出を検討する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
2026年のGDP成長率予測
ドイツ政府は2026年の経済成長率を約1.0%と予測しています。これは昨年10月時点の予測(1.3%)から下方修正されたもので、経済回復のペースが当初の想定より緩やかであることを示しています。
一方、ゴールドマン・サックスは1.1%の成長を見込んでおり、6年間続いた停滞から脱却し、拡張的な財政政策が内需を押し上げると分析しています。
ifo景況感指数は1月時点で87.6ポイントと横ばい。現況判断はやや改善したものの、先行き見通しは若干悪化しており、年初の経済モメンタムは限定的です。
製造業:底打ちの兆しも課題は残る
長年ドイツの成長を牽引してきた製造業ですが、近年は中国との競争激化や輸出の伸び悩みから苦戦が続いていました。しかし、最新の指標では改善の兆しが見られます。
製造業の景況感指数は大幅に上昇し、企業は現在の事業状況をより肯定的に評価。先行きについても悲観的な見方が後退しています。ただし、設備稼働率は77.5%と長期平均の83.2%を下回っており、完全な回復にはまだ時間がかかりそうです。
日本企業への影響
製造業の回復は、部品・素材メーカーや産業機械を扱う日本企業にとってポジティブな材料です。特に自動化・省力化関連の需要は、労働コスト上昇への対応として今後も堅調が予想されます。
サービス業:経済を下支え
製造業が課題を抱える中、ドイツ経済を支えているのがサービス業です。新規受注は4カ月連続で増加しており、特に輸出向けサービスは2023年5月以来の高い伸びを記録しています。
ITサービス、コンサルティング、金融サービスなどの分野は引き続き成長が見込まれ、これらの分野で強みを持つ日本企業にとってはビジネスチャンスと言えるでしょう。
雇用環境の変化に注意
一方で、注意が必要なのは雇用環境の変化です。ドイツの業界団体を対象とした調査では、46団体中22団体が2026年に雇用削減を予想しています。増員を見込むのはわずか9団体にとどまり、15団体は現状維持と回答しました。
特に自動車、製紙、繊維業界では生産縮小が予想されており、保護主義の台頭、輸出の低迷、国内コストの上昇がドイツの価格競争力を蝕んでいます。
ドイツでの人材採用を検討している場合、雇用市場の変化は逆にチャンスとも言えます。優秀な人材の流動性が高まっている今、適切なタイミングでの採用活動が効果的です。
日本企業にとっての機会
経済環境の変化の中でも、日本企業にとってドイツ・EU市場には依然として大きな機会があります。
- デジタル化支援:製造業のDX需要は引き続き高く、日本のIT・ソリューション企業には商機があります
- グリーントランジション:EUの環境規制強化に伴い、省エネ・環境技術への需要が拡大
- サプライチェーン多様化:地政学リスクへの対応として、信頼できるパートナーとしての日本企業への期待は高まっています
- 高付加価値製品:価格競争ではなく品質・信頼性で勝負できる分野では、日本製品の強みが活きます
まとめ
2026年のドイツ経済は緩やかな回復軌道にありますが、業種・分野によって状況は大きく異なります。EU市場への進出を検討している日本企業は、マクロ経済の動向だけでなく、自社の事業分野における具体的な機会とリスクを慎重に分析することが重要です。
TSMでは、ドイツ在住の日本人コンサルタントが最新の市場動向を踏まえた進出戦略のご提案をしています。EU市場への第一歩について、ぜひお気軽にご相談ください。