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デイリーニュース:ユーロ圏HICP+2.5%でECB目標突破——明日は5研究所が成長見通し半減を正式提示、スタグフレーションの輪郭

2026年4月1日(水)

ユーロ圏HICP——+2.5%、ECB目標を突破

昨日3月31日、Eurostatが発表したユーロ圏3月HICPフラッシュ速報値は前年同月比+2.5%でした。2月の+1.9%から0.6ポイント上昇、2025年1月以来の高水準であり、ECBのインフレ目標2.0%を明確に上回りました。

項目別内訳

項目 3月速報 2月 変化
総合HICP +2.5% +1.9% +0.6pp
エネルギー +4.9% −3.1% +8.0pp反転
サービス +3.2% +3.4% −0.2pp
食品・酒類・たばこ +2.4% +2.5% −0.1pp
非エネルギー工業製品 +0.5% +0.7% −0.2pp

最大の変動要因はエネルギーです。2月の−3.1%から3月は+4.9%へ、8ポイントの急反転。イラン紛争に伴う原油・天然ガス高騰が、ようやくユーロ圏全体の消費者物価に本格的に反映されました。

確定値は4月16日に発表予定です。


ドイツCPI+2.7%との比較

指標 ドイツ ユーロ圏
CPI/HICP(3月) +2.7% +2.5%
エネルギー寄与 +7.2% +4.9%
コアインフレ +2.5%

ドイツがユーロ圏平均を上回っているのは、ロシア産ガスからの脱却後もガス依存度が高い産業構造、および政府エネルギー補助金(Strom- und Gaspreisbremse)の終了効果が反映されているためです。


明日の最大イベント——Gemeinschaftsdiagnose(5研究所合同経済予測)

明日4月2日(木)、ドイツ5大経済研究所(ifo・DIW・IfW・IWH・RWI)が2026年春季の合同経済予測を連邦経済・気候保護省に正式提出します。

事前報道で判明している主要数値

指標 2025年秋予測 2026年春予測 変化
2026年GDP成長率 1.3% 0.6% 半減
2027年GDP成長率 1.4% 0.9% −0.5pp
2026年インフレ率 2.0% 2.8% +0.8pp
2027年インフレ率 2.3% 2.8% +0.5pp

成長率見通しの1.3%→0.6%への半減は、イラン紛争によるエネルギーコスト急騰が主因です。同時にインフレ見通しが2.0%→2.8%へ大幅上方修正されており、成長鈍化とインフレ加速が同時進行する「スタグフレーション」的構図が鮮明になっています。


ECB利上げ確率——4月は36%、6月は76%

ユーロ圏HICP+2.5%の発表を受け、市場の利上げ織り込みが更新されました。

会合 利上げ確率 据え置き確率
4月17日 36.2% 63.8%
6月 76%(25bp) 24%

ユーロ圏HICPが市場予想の+2.6%をわずかに下回ったこと(+2.5%)で、4月の利上げ確率はやや後退しましたが、6月については依然として76%という高水準です。

ラガルド発言の再確認

3月25日の発言で、ラガルド総裁は「インフレのオーバーシュートが一時的であっても、ある程度の政策調整が正当化されうる」と述べています。4月17日の理事会では、以下のデータが判断材料になります。

データ 発表日 意味
ドイツCPI確定値(3月) 4月10日 速報+2.7%の精度確認
ユーロ圏HICP確定値(3月) 4月16日 理事会前日
ECBスタッフ見通し 次回6月 4月は見通し改訂なし
企業の価格引き上げ予想 随時 Lane理事が重視
新規採用賃金 随時 二次的効果の指標

製造業PMI——51.7で景況感は改善だが「防衛発注」の側面

3月のドイツ製造業PMI速報値は51.7(2月:50.9)と、2022年6月以来の高水準でした。ただし内容には注意が必要です。

PMI要素 状況
生産 2022年2月以来の高い伸び
新規受注 4年ぶりの高い伸び
投入コスト 2022年10月以来の高水準
産出価格 3年ぶりの高い上昇率

新規受注の増加は、紛争による供給途絶リスクを恐れた在庫積み増し需要防衛関連発注が含まれている可能性があります。持続的な需要回復かどうかは、Q2のデータで見極める必要があります。


成長率見通しの最新整理

機関 2026年 2027年 インフレ2026年 更新時期
5研究所合同(春) 0.6% 0.9% 2.8% 4月2日
OECD 0.8% 3月27日
ECB 0.9% 1.3% 2.6% 3月19日
ifo 0.6% 3月26日
IMK 0.2% 3月26日
BMWK 0.5%(リスク) 3月
Goldman Sachs 1.1% 3月
政府内部リスク 0.5% 3月26日

5研究所合同予測が0.6%で確定すれば、主要機関の予測レンジは**0.2%〜1.1%**と極めて広く、不確実性の高さを物語っています。


日系企業への示唆

  1. Q2事業計画の見直しを——成長率0.6%・インフレ2.8%の前提が明日正式に示されます。年初計画との乖離を早期に定量化し、本社に報告してください
  2. エネルギーコスト転嫁の波及——PMIの投入コスト指標が2022年10月以来の高水準。取引先からの値上げ要請が今後増える可能性があります
  3. ECB利上げの為替影響——6月利上げ76%は、ユーロ高・円安方向の材料です。為替ヘッジポジションの確認を推奨します
  4. 受注の「質」を見極め——PMIの受注増は在庫積み増し需要の可能性があります。Q2以降の受注見通しを慎重に精査してください
  5. 明日のGemeinschaftsdiagnose注視——詳細な業種別分析・雇用見通しが含まれるため、自社事業への影響を具体的に確認する材料になります

本記事は2026年4月1日時点の公開情報に基づいています。ユーロ圏3月HICP確定値は4月16日、ドイツCPI確定値は4月10日に発表予定です。

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