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週刊 欧州・ドイツ市場ダイジェスト:2026年2月24日〜3月1日

2026年3月1日(日)

今週のサマリー

2月最終週は、米最高裁のIEEPA関税違憲判決をきっかけに、EU・米通商関係が急速に悪化した週となった。ドイツ国内では、CPI速報値が2%を下回りECB利下げ観測が浮上する一方、政府の財政拡大路線を受けてKfWが成長率予測を上方修正するなど、マクロ環境は「短期リスク・中期楽観」の構図が鮮明になっている。

今週の重要トピック

1. EU・米通商:最高裁判決から15%関税、協定凍結へ

今週最大のニュースは、米最高裁がIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税を6対3で違憲と判断したこと。これにより、国別の「相互関税」およびフェンタニル関連の25%関税が無効化された。

しかしトランプ大統領は即座にSection 122(1974年通商法)を根拠に、全世界一律15%の新関税を発表。EU議会は通商協定(Turnberry Deal)の批准手続きを凍結し、通商委員長のベルント・ランゲ氏は「純粋な関税カオスだ」と批判した。

影響を受ける主な品目 現行税率 新税率(推定)
一般工業製品 15%(協定ベース) 15%(不変だが法的根拠が変更)
鉄鋼・アルミ 50% 50%(Section 232で維持)
チーズ・農産物 協定ベース 上昇の可能性
派生製品(鉄鋼含有品) 50% 緩和の可能性(数週間内)

EUの対抗カード:

  • 930億ドル相当の米国製品への報復関税リスト
  • Anti-Coercion Instrument(ACI)=「Trade Bazooka」:サービス・公共調達・投資・知的財産への包括的制限措置
  • EU執行規則に基づく自動発動関税(2月6日期限で一時停止中)

日本企業への影響: EU・米間の通商協定が実質的に機能停止状態にあることは、日本企業のグローバルサプライチェーンに直接影響する。特に「日本→EU生産→米国輸出」のルートを持つ企業は、3月のメルツ首相訪米の結果を待ちつつ、代替シナリオの検討を急ぐべき局面。

2. ドイツCPI 1.9%:ECB利下げの扉が開く

2月28日に発表されたドイツCPI速報値は前年比+1.9%で、市場予想の2.0%を下回った。1月のユーロ圏CPIも+1.7%とECBの2%目標を明確に下回っており、3月19日のECB理事会での利下げ議論が現実味を帯びている。

地域 CPI(最新) コアCPI 前回
ドイツ +1.9%(2月速報) +2.5% +2.1%
ユーロ圏 +1.7%(1月) +2.2% +1.9%

バンク・オブ・アメリカは3月に25bp利下げを予想する一方、大半のエコノミスト(Reuters調査の85%)は2026年中の据え置きを見込んでおり、見方が分かれている。

3. ドイツ失業率6.5%・失業者307万人

2月の失業者数は307万人で、季節調整後では前月比1.5万人の減少。ただし前年同月比では8.1万人増加しており、製造業での雇用削減が継続。サービス業は堅調で、労働市場の二極化が進んでいる。

4. KfW、成長率予測を1.5%に上方修正

KfWは2026年のドイツGDP成長率予測を1.5%に引き上げた。政府の財政拡大(インフラ128.7B EUR投資)と輸出回復が背景。ゴールドマン・サックス(+1.1%)、欧州委員会(+1.2%)と比較しても強気の見通し。

機関 2025年実績 2026年予測
KfW +0.3% +1.5%
ゴールドマン・サックス +0.3% +1.1%
欧州委員会 横ばい +1.2%
連邦銀行 +0.7〜1.2%

5. 3月の制度変更:SCHUFA改革が最大の注目

3月末に施行されるSCHUFA(信用情報機関)の大改革が注目。スコアリング基準が250項目から12項目に簡素化され、消費者は無料で自身のスコアを閲覧・シミュレーション可能になる。1回限りの支払い遅延の削除期間も36ヶ月→18ヶ月に短縮。

今週の主要経済指標

指標 発表日 結果 前回
独CPI(2月速報) 2月28日 +1.9% +2.1%
独失業者数 2月28日 307万人(▲1.5万) 308.5万人
独失業率 2月28日 6.5% 6.6%
ユーロ圏ESI景況感 2月27日 98.3 99.0

来週の注目予定

日時 イベント 注目度
3月2日(月) 製造業PMI確報値(独・ユーロ圏) ★★
3月3日(火) ユーロ圏失業率(1月) ★★
3月4日(水) ユーロ圏PPI(1月)
3月5日(木) サービス業PMI確報値 ★★
3月7日(金) 独鉱工業生産(1月) ★★★
3月初旬 メルツ首相訪米 ★★★

来週の最大の焦点は、メルツ首相の訪米と、鉱工業生産の回復状況。通商問題の行方が3月全体の市場ムードを左右する見通し。


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